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やらなくて良い理由にはなっていない
COLUMN
2024/11/10

先日菅さんの件で、カーボンニュートラルの話を書きましたが、書いている最中にふつふつともやもやが蓄積し、今日は書きます。

お客様とお話をしたり、ネット上のブログなんかを見ていますと、必ず一定層いる高気密不要論を聞いたり見たりすることがあります。

どのような内容かといいますと

・魔法瓶みたいな家の中で暮らすのは息苦しくなるんじゃないのか
(最近はさすがにこのようなことをいう会社は少なくなってきましたが、今でも
 まだいるようです。)

・気密はいつまで続くかわからない、必ず性能は悪くなっていく

・気密をしたがばかりに壁の中で結露してしまうのではないか?

・そこまでする必要あるんですか?

・気密よりも大切なことがあるんじゃないですか?

・結局会社がそれを武器にして、売っているだけじゃないのか?

・メンテナンスが大変、しなかったら窒息するのではないか?

というような内容が多いです。

実際僕も7年前まではそっち派だったので、今思うと恥ずかしいばかりです。

この否定的な意見を見て言えることは、やってない側の意見だなというところです。

気密住宅をやったことがない会社は想像でしかお話ができません。

ひとつひとつに回答していくとするならば、

・息苦しいんじゃないか?

 気密をすることで換気システムが100%の性能を発揮するので、
 むしろクリーンな空気で家中しっかりと換気できます。
 また、隙間だらけの家はトイレや浴室などの換気扇の近くばかりが換気される
 可能性が高いので、むしろ、空気がまわらないところがでてきます。

・気密はいつまで続くかわからない、必ず性能は悪くなっていくのではないか?

 そうならないように努力し、ノウハウを積み上げていくのが私たちがやるべ
 きことではないでしょうか?建物が動いたとしても、長期的に気密が
 破られないようにすることが私たちの仕事です。
 チャレンジもしていないのに、初めから性能が
 悪くなると言いきれてしまう方が、よっぽど怖いと感じます。
 気密をしなくても、断熱材の施工方法により、断熱性能は当然悪くなります。
 また、気密層により断熱材が守られているということもおおいにあるので、
 気密をしない根拠が知りたいところです。

・気密をしたがばかりに壁の中で結露してしまうのではないか?

 気密と壁体内結露はセットで考えなければならないので、この質問に関しては
 問題外です。結露を全く考えないで施工している会社もあるかもしれませんが
 結露しないように(万が一結露した場合、適切に排出できるように)
 施工するのが当たり前です。
 逆にいうと、これらを根拠と共に説明ができない人はだめだということです。
 ただ、想像や人づての話だけで気密=壁体内結露という方は単純に勉強不足で
 僕たちのように一つ一つ問題を解決し、研究している者たちへの侮辱だと
 思います。

・そこまでする必要あるんですか?
 お客様が数社でプランや見積もりをとっている時に、性能系をやっていない
 会社さんが言う圧倒的に多いエピソードです。
 むしろそこまでやらない理由を聞きたいです。
 現在、日本の住宅性能は先進国の中で最低レベルです。
 お隣の韓国よりも低いです。
 それでもする必要がないと言えますか?

・気密よりも大切なことがあるんじゃないですか?
 気密よりも大切なことはもちろんいっぱいあります。
 逆に、高気密高断熱自体が最低限であると考えています。
 私自身気密を謳い文句にして営業活動をするのはどうかと思っています。
 ただ、気密すらできないのに、それよりも大切なことなんて言っている
 人にはなおさら腹が立ちます。それだったら気密押しの方がまだ良いです。
 気密という言葉から話を遠ざけようとしている時点で問題だと思います。

・結局会社がそれを武器にして、売っているだけじゃないのか?
 高気密高断熱にすることで、死亡のリスクを圧倒的に減らすことができます。
 これは理論的にも統計的にも実証済みです。
 家の中でヒートショックの死亡者数は交通事故死よりも圧倒的に多いのです。
 あるサイトに
 「日本の住宅は、先進国の中で最もエネルギーコストがかかり、
  快適性が低く、健康にも悪い性能水準」
 と書かれていました。性能を武器にすることがそんなに悪いことでしょうか?
 僕自身、性能性能言ってる会社はあまり好みませんが、やってない会社よりは
 よっぽど良いと思っています。

・メンテナンスが大変、しなかったら窒息するのではないか?
 これに関しては気密住宅だろうが、気密してなかろうが、換気設備の
 メンテナンスは必要です。気密していなくても、換気扇が目詰まりし、
 適切に排出されなければ、空気は滞り、よどみます。
 それによる健康被害が出ないはずはありません。
 それも踏まえて、第一種換気などはメンテナンスのしやすさも考慮して、
 設備の選定をする必要があります。
 そして、それをしっかりと説明した上で、使用していただくのも
 大切なことです。

この内容については、お客様の感想ではなく、お客様が他社様より言われたことや、ネット上に転がっていたアンチ高気密住宅の会社さんの話ばかりです。

7年前、我が家を建築した僕はここにあるようなアンチな意見を言っている一人でした。根拠はなく、想像で言っていました。

自分の家を建て、超高断熱にはしたものの、高気密をしていなかったことによる
隙間風、足元の冷え。

そして、一番悔やまれるのは、その当時でも気密住宅に興味のあったお客様に適切なお話ができなかったことです。最終的に安藤建築事務所で建築していただいたものの、今のレベルではできなかったことを今でも後悔しています。
当然お客様にもご納得いただいた上での建築でしたが、今ならもっと違った提案ができていたのにと思ってしまいます。

だから僕は気密をやらないことの言い訳を考えるのをやめました。
環境先進国のドイツが正しいと言ってやっている気密を理論的に否定することが
できるでしょうか?

最初は気密化をありか無しかで選んでいただいている時期もありました。

ですが、やらない理由がなかったので標準化しました。

今のUA値0.4以下というのもすべて標準にしました。

もちろん、時代に合わせて、気密施工方法や断熱材は随時アップロードしています。

勉強すればするほどやらない理由は見つからないのです。

菅さんがカーボンニュートラルと言った以上、僕たち作り手もちゃんと向き合わなければなりません。

やらない理由や言い訳を探す前に、まずは勉強です。

日々、新製品が生まれ技術も進化します。未来の地球のために今できることをやるべきだと思います。
 

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