家を建てるとき、何を一番大切にしますか?
少し前までは「耐震に強い家」「高性能な家」「自然素材にこだわった家」「デザイン重視の家」など、どこか一つに特化した家づくりが目立っていました。コストを最優先にする家づくりもそのひとつです。
でも最近は、ちょっと潮目が変わってきているように思います。
耐震も性能も素材もデザインも、そしてコストも――全部バランスよく整えた“総合点の高い家”が求められる時代になってきました。
もちろん、耐震等級3・断熱等級7・オール自然素材・デザインにもこだわるフルスペックなお家を求める方もいますが、どちらかというと「自分たちにとってちょうどいい家」を選ぶ人が増えている印象です。
人気の“せやま印の家”も、まさにその「ちょうどいい」を形にしている好例ですね。
昔からよく「年収の◯倍までがローンの目安」と言われますが、正直なところ今の時代には当てはまりにくいです。
生活にかかるコストのかけ方が多様化していて、従来の常識では測れなくなっているからです。
ギリギリのローンを組んでしまうと、せっかくの暮らしで「あきらめなくてもいいもの」を手放すことになりかねません。
家は生活の中心だけれど、ローンのために暮らしを犠牲にしてしまえば、それは“負の遺産”になってしまいます。
安藤建築事務所では、家づくりで大切にしている優先順位をこんなふうに考えています。
「形態は機能に従う」という言葉があります。
機能がデザインを形づくる、という考え方です。
僕自身はこれに加えて、高機能な自然素材はデザインにも良い影響を与えると感じています。無垢材やタイルといった素材は、耐久性や快適性といった機能を満たすだけでなく、空間に温かみや美しさも与えてくれるのです。
結局、家づくりに正解はありません。
大切なのは「自分や家族にとって何を優先するか」を整理すること。
生涯コストなのか、快適性なのか、安全性なのか――。
その順番がはっきりすれば、きっと自分に合った建築会社やパートナーを見つけやすくなるはずです。