標準化シリーズ2です。
安藤建築事務所の標準化として、水回りの床、壁、全室の巾木をタイルで仕上げています。
巾木とは、壁と床のとりあいの、掃除機がぶつかる部分です。
こちらの物件は床はウォールナットで壁との取り合いの巾木が、ブラウングレーぐらいのムラのあるタイルを張っています。
通常の巾木はMDFという木材の繊維を樹脂で固めた素材に、木目調のシートを張ってある物が一般的ですが、どうしても寿命は短いです。
室内の湿気を吸って膨張したり、ペットがおしっこをして膨張するということも少なくありません。
また、シートは早い場合5~10年以内に剥がれ、見た目の陳腐化も進みます。
加えて、出隅やエンドにはプラスチック製のカバーがつきますが、これがまた取れやすいです。
ではメリットはなにか、安くて施工が楽なのです。
メンテナンスはどうかというと、DIYでできなくもないが、特殊な工具が必要なので、簡単にはできません。
また、10年後ごとに巾木の交換をしている方を私は見たことがありません。
ボロボロになりながらもそのままほったらかしにして、床の張替えの際に交換するという流れが多いです。
なかなか替えられない上に寿命が短い素材をあえて使う理由がなかったために、巾木はタイルにしました。
MDFのワンランク上となると、無垢材の巾木もありますが、これも汚れの問題やメンテナンス、色をかけた場合、塗り替えの手間などを考えると、タイルは圧倒的にランニングコストのパフォーマンスが優れています。
明るい床や濃い床など、様々な無垢材に合わせやすいことと、優れた耐久性、万が一掃除機を強烈にぶつけて割れてしまった場合の、張替えのしやすさなどなど、トータルコストで考えると圧倒的なコストパフォーマンスを発揮します。
初期費用は既製品の巾木の10倍、無垢材の巾木の3倍近くしますが、それでも長い長い暮らしを考えると安心して使える素材だと思います。
こういった素材も標準とすることで、オプションとなる数十万円をプランで償却することができます。
水回りの床も標準でタイルの床としています。
これも巾木と同じ理由で、クッションフロアの寿命と劣化・陳腐化を考えた時に、タイルにしない理由がありませんでした。
ただし、タイルは無垢の床やクッションフロアに比べると冷たいです。
一般的な住宅の場合は、この冷たさを理由にタイルを諦めることが少なくありません。
しかし、安藤建築事務所の家はどこに行っても暖かいので、タイルも同じように蓄熱してくれます。
もちろん無垢の床と比べると冷たくは感じますが、そもそも足元に冷気が溜まらないので、タイルが冷えるということはありません。
性能が担保できているからこそ、タイルの床を標準にしています。
タイルは陳腐化しない上に味わいを増していきます。
ただし、目地のメンテナンスは必要ですが、これはお客様でも簡単にでき、特殊な工具も必要なく、ホームセンターに打っているものでメンテナンスが可能です。
様々な素材を使う場合、必ず相性やコストの問題がつきまといます。
安藤建築事務所の家では床や巾木にタイルを使わない理由がない。
そう言い切れるため、標準仕様としています。
水回りの立ち上がりや壁も同様です。
見た目の美しさももちろんありますが、耐久性、メンテナンス性、ランニングコストの面でタイルは家の質をしっかりと上げてくれる素材だと考えています。
今日はタイルのお話でした。
また標準化をUPしていきたいと思います。