安藤建築事務所では一般的にはオプションとなる様々なものを標準化しています。
それは高級にしたいとかただ見た目を良くしたい、安藤建築事務所の家っぽくしたいとかそんなことではありません。
家や室内環境、その後のメンテナンスなどの家にまつわるものの環境を守るために標準化しています。
こちら我が家の玄関ドアです。見てのとおり鍵まわりが結露しています。
枠の近くも結露しています。
玄関ドアはYKKAPのヴェナートです。今でもYKKではもっとも売れているドアだと思います。
ただ、安藤建築事務所の家ではこのドアは使っていません。
安藤建築事務所のお客様のお家は家に入った瞬間から暖かい間取りになっているので、玄関ドアが一番弱点となります。
我が家は気密施工はしていませんが、断熱性能は北海道以上の仕様となっています。
冬は薪ストーブ一台で家全体を暖めるので、基本的にどの部屋もドアを開けるか、ドアがない部屋ばかりです。
というのも我が家はトイレと脱衣と寝室にしかドアがないので、必然的に全館暖房という形になりますし、お客様のお家も一般的な住宅に比べると圧倒的にドア数が少ないです。
家の中で熱橋がない分、外壁に面する部分に弱点があると、必ず結露します。
性能で玄関ドアを考えると、ヴェナートという商品で最も性能が高い物でも、
壁の方が8倍ほど性能が高くなります。
トリプルガラスのサッシでさえ、壁の1/3ほどの性能になります。
ちなみに、安藤建築事務所で標準採用している玄関ドアは海外製のものか、同じYKKAPのイノベストというドアを標準としています。海外製のドアはトリプルガラスサッシよりも性能が高くなり、イノベストでもトリプルガラスサッシと同等くらいの性能になります。
逆にいうとこのくらいは最低入れないと一般的な普及品のヴェナートでは必ず結露しますと言わなければなりません。
僕の家が築7~8年で、ちょうどその時にYKK初のトリプルガラスサッシが誕生しました。実は私の家が日本初のAPW430を入れた一般住宅なのです。
そのころはまだイノベストというドアは販売されていませんでした。
納期は今でこそ2週間ほどになりましたが、当時はしょっぱなということもあり、2ヵ月かかりました。
今みたいに引違や大開口スライディングがなかったので、330真空トリプルと組み合わせました。
気密はしていませんが、あの頃北陸では相当レベルの高い家だったと思います。
しかし、今の安藤建築事務所のお客様のお宅は私の家よりも性能が高いです。
UA値の数字だけだともしかしたら我が家のほうが高いかもしれませんが、断熱材の充填の仕方や気密施工で間違いなく我が家よりも暖かくなります。
あの頃すごい性能だと思っていたものが今では最低レベルになっています。
逆にいうと、ここまで標準仕様を上げることができたと共に、そういった家に若い方たちに住んでいただけていることがうれしいです。
あの頃は、間違いなく高級品としてでしか提案できなかったものが、今では標準仕様となっているのです。
今回は玄関ドアについてでしたが、このように様々な理由を経て、素材の標準化をしています。
ただ、標準化したとしても、商品が安くなるわけではないので、家自体が安くなることはありません。
しかし、標準化することで、より予算に合わせたご提案ができるということです。
最低仕様の設備や性能で、決まった予算でプランを描くと、もちろん大きな家を描くことができますが、オプションが数百万円ついてきます。
しかし、標準化した状態でプランを描くと当然予算は同じなので、小さくなります。しかし、オプションが出ないので、ちゃんと予算におさまります。
これが、安藤建築事務所で20代の若いお客様たちが家を建てられる理由です。
私は家の大きさよりも、質の方が絶対に大切だと考えているので、質は落としません。
これから着工のお客様もみなさま20代です。
どんなに高級そうな住宅でも、性能にこだわっていない会社だと間違いなくイノベストや高断熱ドアは使いません。
家の値段だけ見れば間違いなく高級そうな住宅が高いと思います。
しかし、ひとつひとつの部材の質や価格は間違いなく安藤建築事務所のお客様のお家の方が優れています。
これは玄関ドアだけじゃなく、窓も断熱材も床も外壁もです。
どちらが高級住宅と言えるでしょうか?
高級そうなお家は実はただでかいだけで価格が上がったなんちゃって高級住宅にはなってないでしょうか?
よく、坪単価だけを見てお客様は高いか安いかを判断しますが、実はそれでは良い家かどうかは絶対にわからないのです。
なので、私はお客様に積極的に家を小さくして質を上げて、坪単価を上げましょうとお話をさせていただきます。
本当に良い家の価値は価格が高いとか安いじゃなく、質の高い家ではないでしょうか?
標準化した素材はいっぱいあるので、順々にUPしていきたいと思います。