ここまで、気密について書いてきましたが、気密工事以外にも
大切なことがいくつかあるので書いていこうと思います。
まず第一にサッシです。
サッシの種類によって気密が大きく左右されます。
できるだけ引違窓は使わないようにしましょう。
引違窓は利便性は高いですが、気密という点ではかなりマイナスに働きます。
気密検査をすると引違サッシの真ん中から風が入ってくるのがよくわかります。
もちろん、サッシの調整である程度抑制できますが、構造上隙間があります。
引違の利便性と気密性を確保した、
片引き窓の大開口スライディング窓もあるので、
こちらも検討したいところです。
安藤建築事務所ではこちらのAPW430がすべて標準となります。
そして、一棟あたり、引違の掃き出し窓か大開口スライディングを
一枚は標準的に入れるようにしています。
人の出入りはもちろんですが、引っ越しの際に、大きな窓があると
利便性が増します。
そして、引違にするか大開口スライディングにするかどうかは
価格が全然違いますので、コストの面と物件によっては
あえてそこから空気を入れたいときには引違を採用します。
サッシとレンジフード
空気を入れたいとはどういうことかと言いますと、
第一種換気を採用した超高気密住宅の場合、
キッチンなどで、換気扇をつけた場合家中が負圧になります。
そうすると、玄関ドアが開きにくくなるのと、
熱交換がそのタイミングだけ、正常に稼働しなくなります。
そのため、会社や物件によっては同時吸排気付きの
レンジフードを採用したり、
別で電動吸気シャッターを設置する場合があります。
これには賛否両論ありまして、
安藤建築事務所でも、ケースバイケースで考えます。
電動吸気シャッターなどの場合、キッチンだけが極端に寒くなってしまったり、
吸気ダクトでの結露の問題、ショートサーキットによる
匂いの問題などもあり、あえて吸気口をつけないという選択肢もあるのです。
そんな時に、ダイニングキッチンに大きな掃き出し窓がある場合、
引違にして、強烈な負圧を少し回避するということも考えます。
キッチンから掃き出し窓が極端に遠い場合は大開口スライディングを
採用したりと、間取りや家のバランスによって考えるのも必要です。
また、冬や真夏以外にはキッチンすぐ横に突き出し窓などを
配置し、レンジフード稼働時はその窓を開けるというのも
有効な手段です。
超高気密住宅の場合はこれらも含めてサッシの選定をすると良いと思います。
引違を多用するとあちこちから風が入るのでお勧めできません。
安藤建築事務所では基本的に、引違・大開口スライディング1枚以外は
すべて、FIXか突き出し窓を採用しています。
昔のように、1室に2枚窓を配置し、風を通すということや
家の高低差を利用して、換気するという考えではありません。
強制的に窓から風を入れたい場合は家中の換気扇をつけて
風を入れたい窓だけ、少し開けると大風量で風が入ってきます。
また、この方法は家の気密性を確かめることもできます。
家の気密がしっかりとしていればこのように大量の風が入って
きますが、緩めの気密の場合、吸気が分散されるので、
たとえば、内覧会やモデルハウスなどで気密を謳っている会社があれば
実験させてもらっても良いと思います。
ただし、第三種換気の場合で排気量に対して
大き目の吸気口がついている場合はそこからも吸気するので、
できれば吸気シャッターを閉めて実験してください。
吸気口以外の場所で漏気があると、窓から入る吸気は下がります。
※あくまで、僕の個人的な気密調査方法なので、公式ではないです。
話を戻しますが、FIXと突き出しで家をまとめるのは、
気密性の確保のためと、UA値のためです。そして、価格も重要です。
窓の性能はトリプルガラスを使用しても、
壁の性能の半分以下になるため、窓が多すぎると性能が低下します。
なので、窓から風を入れたい場所だけ突き出し窓を使用し、
それ以外はすべてFIXにします。
風を入れたいところというと、
各個室やサンルーム、などです。
逆に光さえ入れば良いとなると、リビングの大多数はFIXになります。
また、最近では浴室やトイレなどに窓を入れない方も多く、
そもそも窓を開けない方や、水が滞りやすく、掃除の手間が増えるという点
で窓を入れない場合が多いです。
逆に、照明をつけずに日中トイレを使用したい場合は
FIXで十分ということです。
そして、サッシの価格が突き出しとFIXでは、突き出し窓が倍ぐらいします。
つけたは良いけど開けない窓があるととてももったいないのです。
ガラスの種類 日射取得と日射遮蔽
窓が多いと性能が下がると書きましたが、
日射取得型の窓を採用して、冬の暖房費を下げるという話を
聞いた方もおられると思います。
いわゆるパッシブソーラーハウスというものです。
残念ながら北陸ではNOです。
日射が一番ほしい、冬場は全然晴れません。
太陽が出ていなければ当然家も暖まりません。
太平洋側では非常に有効ですが、北陸とは真逆の天気なので
ここは間違ってはいけません。
夏の日射を遮蔽するために軒を深くすることは有効です。
考え方としては、基本的に少ないエネルギーで家を暖めることなので、
北陸では熱が逃げないようにすることだけ考えればよいです。
それよりも季節関係なく日射をちゃんと入れたい場合は、
日射遮蔽型の窓がマストです。そして、色はブルーやブロンズがおすすめです。
以前、ニュートラルを採用していましたが、
熱の入り方が体感でもわかるくらいです。
また、安藤建築事務所ではAPW330もNGとしております。
床・壁・天井のU値を考えた時にサッシの性能が低すぎるため、
結露の危険性が出るのです。
したがって安藤建築事務所では最低でもトリプルです。
玄関ドア
そして、そこまで突き詰めると最後には玄関ドアが出てきます。
これまた安藤建築事務所ではイノベストが最低条件です。
ヴェナートd30ではこれまた結露必至です。
高断熱ドアでイノベストというドアがあります。
イノベスト D70 D50 | 商品を探す | YKK AP株式会社
イノベストもD70であれば完璧ですが、コスパ的には
D50です。そして、窓有はできるだけ避けたいところです。
D70はコストもそうですが、お手入れが出ますので、
ここまでの性能を求める場合はスニカッルペールという
スウェーデンドアをおすすめしています。
木製玄関ドア | 上野住宅建材株式会社|UENOJYUKEN
スニッカルペールは断熱木製ドアでU値はD70を上回ります。
ただし、気密測定の時に、鍵のシリンダー部分から漏気を感じることがあるので
この辺の気密性能はイノベストの方が勝っているかもしれません。
最高の気密性能。断熱性能を実現するためには
サッシも玄関ドアもとても重要な要素の一つです。
今回も少し換気について触れましたが、
次回はやっと換気について書いていこうと思います。
省エネ性能についての記事はこちらから
省エネ性能 断熱・UA値 | 安藤建築事務所 | 石川県金沢市 | 設計から施工まで一貫体制の建築事務所 (h-imagine.net)
省エネ性能 気密・C値 その1 | 安藤建築事務所 | 石川県金沢市 | 設計から施工まで一貫体制の建築事務所 (h-imagine.net)
省エネ性能 気密・C値 その2 | 安藤建築事務所 | 石川県金沢市 | 設計から施工まで一貫体制の建築事務所 (h-imagine.net)
省エネ性能 換気 | 安藤建築事務所 | 石川県金沢市 | 設計から施工まで一貫体制の建築事務所 (h-imagine.net)