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高性能住宅は贅沢品なのか
COLUMN
2024/12/04

家づくりの中で最も大切な項目として「予算」があります。

お客様はまず予算の額によって土地や建築会社を決める作業を行います。

いくつか建築業者を見てまわり、自分たちの予算に合うかどうかを見極めます。

例えば、建物2000万円の予算の方は2500万円~3000万円で建つ建築会社では

建てません。

この時に重要視されることはイニシャルコストばかりでランニングコストについて検討

される方は多くありません。

中には住居内の快適性を求め、高性能住宅をご希望のお客様もおられますが、

予算が合わずに断念という方も少なくありません。

僕はこの選択肢は間違っていると思います。

予算が合わないということはそこまでの金額が出せないということだと思いますが、

高性能住宅の本質は快適性もそうですが、ランニングコストの大幅な削減にあります。

例えば、30坪前後で

2000万円の予算で一般的な性能の住宅を建てた場合と

2400万円で建てた超高性能住宅があったとすると、この差は400万円になります。

ではこの400万円という金額をローンに置き換えると

現時点での金利で考えると35年ローンで金利0.35%だとすると

ちょうど1万円ほどの返済額となります。

土地込みで8万円のローンが9万円になるとちょっときついかなと考える方もおられると思いますが、実際はここに光熱費がのっかります。

もし年間で12万円の光熱費の削減ができたならば、ローンと電気代を合わせた

コストは同じになります。

そして、年間10万円以上の削減は可能だということです。

数値上ですが、北陸の次世代省エネ基準のUA値0.87の家と

UA値0.35の家を比較すると暖房代は1/3になるという計算が成り立ちます。

当然金額でも置き換えられますが、中の快適性は別次元です。

もし支払い総額が同じであるならば、性能の高い家を選ばない理由がなくなります。

しかし、実際の動きは真逆です、予算ありきで進めてしまうため、

イニシャルコストのほうにばかり目がいき、結果的に生涯コストは上がってしまいます。

家づくりや性能についてかなり勉強されている方はこのからくりに気が付き

行動している方もいるかと思いますが、

家の予算を400万円も上げる方は少ないと思います。

もちろん、銀行からの融資がぎりぎりでという方は確かに厳しいのかもしれません。

郊外で土地探しをして、可能性を模索するのも一つですが、どうしても譲れない場所の

場合、建築費が捻出できなくなれば当然高性能住宅は難しいと思います。

ですが、ほとんどの方が月々の返済額で考えると思います。

たかが1万円、されど1万円です。

イニシャルコストで考えるのかランニングコストと生涯コストで考えるのか。

この1万円はとても大きな意味を持ちます。



また、ここからは僕の偏見になるのであまり参考にはしない方が良いですが、

そもそも、UA値0.87くらいで充分と考えている会社の性能は絶対に0.87以下の

性能になっていると思います。

0.87という数値はあくまで計算上なので、断熱材を完璧な形で施工した場合の数値となります。

残念ながらそのぐらいのレベルの会社だと完璧な施工はまずできません。

逆に、UA値0.35くらいの性能を有する会社は数値に責任を持ちたいので、

より完璧な施工を目指すはずです。

予算が限られているからこそ、そこでの最高のパフォーマンスができないかを

考えるべきです。

予算とは払える家のローンの額ではなく家+固定費含めたランニングコストの

額として考えると、より家づくりの幅が広がると思います。

高性能住宅は総じて通常の家よりも高くなりがちです。

ですが、僕は贅沢品にしてはだめだと考えています。

むしろお金がないからこそ高性能住宅を選ぶという選択肢がもっとあってしかるべきと考えています。


ただし、よりお金をかけても大丈夫ということではありません。

家づくりの本質を見極めて、適正なコストを理解するということですので、

安易に400万円増額しても大丈夫ということではありません。

高性能住宅は高価だと思うことへの偏見が少しでもなくなればと思います。



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