家づくりを考えるとき、多くの人が「失敗したくない」という思いを持っていると思います。
今はSNSなどでさまざまな情報が手に入り、失敗談や付けてよかった設備・いらなかった設備といった投稿も無数にあります。
しかし、残念ながら 家づくりで全てを100点にするのはとても難しい のが現実です。
なぜなら、今のあなたと、5年後・10年後のあなたでは価値観が変わる 可能性があるからです。
家族構成が変わっているかもしれませんし、暮らし方も変わっていきます。
情報が溢れていることで、逆にその情報に縛られてしまい、「良い・悪い」という二択で判断しがちになります。しかし、どんな選択肢にも必ず良い面と悪い面があり、あれが正解・これが間違いと断定するのは危険で、かえって“失敗”の原因になることもあります。
迷ったときの選択は、上か下ではなく、右か左。金か銀ではなく、AかB。
どちらかが絶対的な正解ということは、ほとんどありません。
建てた後に「あっちの方がよかったかも…」と思うこともあるでしょう。
でも、それは逆を選んでいても同じように考えていたかもしれません。
結局のところ、結果は大きく変わらないものです。
大切なのは、今あるものを柔軟に使いこなす発想力 です。
たとえば我が家は、子どもが4人いるのに子供部屋が足りません。
建築時はまだ2人目が生まれたばかりで、子供部屋を4つ作る想像は正直できませんでした。
今はまだ子供室1部屋を仕切らずに使っていますが、長男は中学生、次男は6年生、長女3年生、次女1年生となり、家も築13年目に入り、長男の生活スタイルは部活や勉強で大きく変化しました。

子供室です。
手前で長男が勉強し、奥で弟たちが寝ている――何とかなっています。
もちろん、いずれ兄弟全員が部屋をほしいと言い出すでしょう。
そのときは、一時的に寝室を子どもたちに譲り、夫婦はリビング横のタタミスペースで寝る、という方法もあります。子供部屋の一部と寝室を交換することだってできます。
つまり、どうにでもなるのです。
もちろん、家そのものが「不幸になる間取り」ではいけませんが、
一時的な不便くらいは許容する心をもつことも必要だと思います。
SNSでバズった投稿に振り回されるより、自分自身でさまざまな可能性を考え、「最悪こうなったらこう乗り切る」という柔軟な姿勢 を持つことが大切です。
その方が、あなたの“叶えたい暮らし”に近づきますし、無駄なスペースを減らしてコストも抑えられます。
情報が溢れるこの時代だからこそ、自分の想いや信念を大切にした家づくり をしてほしいと思います。