年々過酷さを増す日本の夏。特にここ数年は、気温だけでなく湿度の高さが住環境に深刻な影響を及ぼすようになっています。
たとえば、松尾和也氏のコラムでは、外気の持つ水蒸気量が一日で4.5L以上にも達することがあると指摘されています。このような環境では、冷房負荷の上昇やカビ・ダニの発生要因など、多くのリスクが生じます。
そこで、私たち安藤建築事務所では、その問題を根本から解決するために、全熱交換型換気システム「スティーベルVLR-70」を標準採用しています。これにより、換気による空気の質の向上だけでなく、湿度の安定化も実現しています。
VLR-70は全熱交換型であり、温度だけでなく湿度も交換できる点が最大の特徴です。つまり、外気の湿気を室内に持ち込まずに済むため、エアコンの除湿負荷を大幅に軽減できます。
さらに安藤建築事務所の住宅はC値0.1という非常に高い気密性能を標準で確保しており、このことから機械換気の性能をフルに発揮できる環境が整っています。そのため省エネ性と快適性を両立した住まいが実現するのです。
ダクトレス換気でよく聞かれる不安が「家全体に空気が行き渡るのか?」という声もあります。しかし、私たちの設計では、そのような不安が生じにくい構造となっています。
■ 家をコンパクトに
まず第一に、家全体をコンパクトに設計することを重視しています。たとえば、4人家族でも25坪前後を基本とし、無駄な廊下やスペースを省いたプランニングを行っています。この結果、空気の滞留が起こりにくくなります。
■ 間仕切りを最小限に
また、空気の流れを妨げないよう、間仕切りを極力減らした開放的な間取りを採用。そのため、空気が部屋全体を通り抜けやすくなり、効率よく換気が行われます。
■ パックスノルテによる室内間換気
さらに、VLR-70だけでは届きにくいエリアにも空気を届けるために、室内間換気ファン「パックスノルテ」を併用しています。これにより、空気の撹拌が促進され、リビングから寝室、洗面室に至るまで室内全体の空気が均一に循環します。
このように、全熱交換換気・高気密構造・室内間換気の3要素が連携することで、家全体の温度と湿度が安定します。したがって、個室ごとにエアコン設定を変える必要もなくなり、快適かつ省エネな暮らしが実現されるのです。
つまり、VLR-70という機械単体の性能だけでなく、それを活かすための設計思想と施工精度の高さが重要なのです。
確かにVLR-70は高性能な製品です。しかしながら、それを最大限に活かすためには、それを前提とした住宅設計と現場施工の精度が欠かせません。
安藤建築事務所では、C値0.1の確保をはじめ、空気の流れを妨げない間取り構成、室内間換気の仕組みなど、VLR-70の性能を最大限に引き出す住まいを標準仕様としています。
今後の日本において、「湿度を制する家」が真の快適性を実現する鍵になることは間違いありません。
その第一歩が、「全熱交換換気×空気の流れを設計する家づくり」なのです。
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