今、住宅業界では大きな変化が起きています。
建築業界がおかしくなった原因は、戦争だけではありません。
実はその前から、じわじわと状況は変わっていました。
大きな転機になったのが、昨年の「4号特例縮小」です。
確認申請の審査が大きく変わり、以前は申請から1週間ほどで下りていたものが、現在では2.5〜3か月かかることも珍しくありません。
問題は、審査そのものよりも“順番待ち”です。
実際には、提出してから2か月近く、審査すら始まらないケースもあります。
当然、着工は確認済証が下りてから。
そこから地盤改良、基礎工事と進み、上棟までさらに1.5か月ほど。
つまり、確認申請を出してから、実際に大工さん以外の職人さんが現場に入るまで、4か月近く空いてしまうのが今の住宅業界です。
ここで問題になるのが、「見積の有効期限」です。
本来、職人さんの見積は1か月程度が一般的です。
ですが今は、見積提出から実際の工事まで4か月以上空くこともある。
その間に、材料価格は変わります。
特にナフサ価格の影響を受ける建材は、情勢次第で大きく変動します。
本来であれば、“着工直前”に最終見積を出すのが健全です。
しかし、それでは契約後に最終金額が変わる可能性があります。
場合によっては、
「確認申請は進んでいるのに、最終金額が予算に収まらない」
という状況すら起こり得ます。
もし金額が折り合わなければ、それまでにかかった設計費や申請費用は請求されるケースもあります。
これって、少し怖いですよね。
最近では、建築会社向けに
「情勢による価格上昇の可能性を了承してもらう文言を契約書に入れましょう」
という流れまで出てきています。
会社側からすれば、当然のリスク対策です。
ですが、お客様からすると、
「住宅ローンに収まらない」
という最悪のシナリオもあり得ます。
特に土地から購入する場合、銀行へのローン申込みは、確認申請よりさらに前。
つまり、“半年後の価格”を予測しながら借入額を決めることになります。
この情勢で、それを完全に読むのはかなり難しいです。
僕自身、職人さんから上がってくる見積を見るたびに、少しずつ金額が上がっていくのを感じています。
完成後に振り返ると、
「これ、利益ほとんど残ってないな…」
と思うこともあります。
でも、これは誰か一人が悪いわけではありません。
職人さんも、施工時に材料代が上がっていれば苦しい。
工務店も苦しい。
そして最終的には、お客様も苦しくなる。
今の住宅業界は、誰か一人が得をする仕組みではなく、全員が不安を抱えながら進んでいる状態です。
だからこそ、これからの家づくりで大切なのは、
「予算を上げる」ことではなく、
「予算の中で、何を優先するか」を最初に整理することだと思っています。
家のサイズを見直す。
仕様を整理する。
やりたいことに優先順位をつける。
そうした準備を、契約前からしておくことがとても大切です。
そして何より、
契約は、必ず詳細見積が出てから。
ここは本当に大事だと思っています。
これからは、規格型住宅という選択肢も、より現実的になっていくかもしれません。
規格化されていれば、建築会社も価格を管理しやすく、お客様にとってもコストパフォーマンスの高い家づくりにつながる可能性があります。
家の価格が上がること自体は、もう避けられない部分もあります。
だからこそ、その中で、
「どうやって納得できる家づくりをするか」
を考えていく時代なのかもしれません。
しっかり整理しながら進めれば、今でも良い家づくりはできると思っています。