白山市の閑静な住宅街に建つ、延床約70坪の大きな邸宅。
築20年のM邸、一階部分を対象としたフルリノベーションです。
この住まいは、10年前に一度リフォームを実施しており、今回が2度目の改修工事。
当初、施主からの要望は素材の更新や水回り交換といった部分的なリフォームでした。
しかし、そのままでは将来もリフォームを繰り返す可能性が高いと判断し、
断熱・気密性能を根本から見直す高性能リノベーションを提案しました。
“生涯メンテナンス負担を減らす”改修方針
今回のリノベーションでは、将来的な屋根材(瓦)の交換は必要になるものの、
雨漏りや結露といった根本的なリスクに対処する工事を組み込み、
長期的に安心して暮らせる性能向上を重視しました。
キッチンは10年前のリフォーム時に入れ替えたものを再利用。
浴室・トイレ・洗面を新調し、コストバランスを取りながら
次世代建材補助金を最大限活用して、
性能とコストの両立を実現しました。
水まわりの壁・天井には**調湿性に優れた珪藻土ベースの建材「モイス」**を採用。
結露・カビ対策とともに、空気質と快適性を高める仕上げとしています。
気密・断熱の難しさと成果
リフォームやリノベーションにおける断熱・気密改修は、
ノウハウと高度な施工技術が不可欠であり、一筋縄ではいきません。
しかし今回の工事では、
中間気密測定でC値0.2を達成。
これは、専門家によると、
従来のリフォーム工事での最高記録(C値1.6)を大きく上回る数値です。
さらに、UA値も0.4以下を実現。
エアコン1台で家全体を快適に保てる水準まで性能を引き上げました。
暮らしやすさを変える、性能向上リノベ
もともと仕切りが多く、細かく分断されていた空間も、
性能が向上したことで広々としたワンルーム感覚で利用可能に。
冷暖房効率を損なわないため、
オープンな空間でも快適な室温が保てる住まいとなりました。
窓については、補助金の要件を満たすために、
トリプルガラス、内窓、樹脂ペアガラスの防火窓を適材適所で組み合わせるなど、
複合的なアプローチを採用しました。
部分的な更新ではなく、暮らしの質を根本から変える性能向上リノベーション。
生涯コストを抑えながら、快適で安心な空間を提供する住まいが完成しました。