最近、ご相談に来られるお客様から、よくこんな話を聞きます。
「他社で相談したら、土地と建物で6,000万円くらいと言われました」
土地の場所や建物の大きさ、仕様によって費用は変わります。ご希望をかなえるために、6,000万円かけるという選択もあると思います。
ただ、「それくらい必要と言われたから」「住宅ローンを借りられるから」という理由で予算を決める前に、家を建てた後の暮らしまで考えておきたいところです。
安藤建築事務所では、土地込み4,000万円台を中心に家づくりをしています。条件によって変わりますが、できるだけ5,000万円以内に収める方向で考えましょう、とお話しすることが多いです。
もちろん、この金額ならどのご家庭でも安心、ということではありません。収入や貯蓄、お子さんの人数、これからの働き方によって、無理のない予算は違います。
お客様は20代から30代の方が多く、これから子育てが始まる方や、お子さんがまだ小さいご家庭もいらっしゃいます。
共働きで、お二人とも正社員。今の世帯収入なら、希望する金額の住宅ローンを組めるかもしれません。
でも、子どもの都合で勤務時間を短くしたり、正社員からパートに変わったりすることもあります。そのとき、収入が減っても支払いを続けられるか。最初に考えておきたいのは、そこです。
住宅ローンの支払いがあるから、働き方を変えたくても変えられない。家を建てたことで、家族の選択肢が減ってしまう。そんな資金計画にはしたくありません。
ただ、予算を抑えるために、大切なところまで削るつもりもありません。
耐震性はもちろん、日々の光熱費に関わる断熱・気密性能や、将来のメンテナンス費用を考えた素材選びも、妥協したくない部分です。
建てるときに安くなっても、住んでから光熱費や修繕費が多くかかるなら、負担を先送りしただけになることもあります。初期費用だけでなく、その後にかかる費用まで含めて判断します。
そして、そのご家族が家づくりで楽しみにしていることも、残したいと思っています。
料理が好きで、キッチンにこだわりたい。趣味を楽しむ場所が欲しい。家族でゆっくり過ごせるリビングにしたい。
そもそも、それを楽しみに家を建てるのに、予算に合わせて全部諦めてしまっては、何のための家づくりかわかりません。
では、どこでコストを抑えるのか。
まず、ご家族にとって何が大切なのかをはっきりさせます。そのうえで、部屋の広さや数、廊下や収納の取り方などを整理して、プランの無駄をそぎ落としていきます。
よく使う場所にはゆとりを持たせ、それほど広さが必要でない場所はコンパクトにする。面積を増やす前に、配置や動線の工夫で解決できないか考える。
家全体を少しずつ我慢するのではなく、こうしたメリハリをつけて、大切な場所に予算を使います。
これは、建物だけの話ではありません。
土地も、必要な駐車台数や庭の使い方、建物の配置まで考えると、最初に探していた広さより小さな土地で、ご希望がかなうことがあります。
広い土地には、その分の購入費用がかかります。外構や、その後の手入れにかかる費用も変わります。広さだけで選ぶ前に、自分たちの暮らしにどれくらいの土地が必要なのか、建物と合わせて検討しておきたいところです。
土地を買ってから、残った予算で建物を考えると、大切にしたかったところを削らなければならないこともあります。だからこそ、土地探しの段階から、建物、外構、諸費用まで含めた全体の予算を見ていきます。
大切なところには、きちんとお金をかける。その代わり、必要以上に大きくしない。何となく増やした部屋や設備は、一度立ち止まって考える。
家を建てた後も、子どもの成長や家族の状況に合わせて、働き方を選べるくらいの余裕は残しておきたい。
そのために、土地も建物も予算も、一緒に考えています。